「マーケティング部門のCPAが改善しない」「営業が価格競争から抜け出せない」「開発リソースが分散し、的外れな機能ばかり増えていく」——。
これらは一見、部門ごとに独立した課題に見えます。しかし、その根本原因はたった一つ、事業の「羅針盤」となるバリュープロポジション(VP)の不在にあるかもしれません。
この記事は、VPを単なる「キャッチコピー」と捉える戦術的な誤解を解き、VPこそが経営戦略の根幹であると再定義します。VP不在が引き起こす「3つの経営損失」を具体的に提示し、VP策定がいかにROI(投資対効果)の高い戦略的投資であるか、そして、その実行に専門家(株式会社コリン)の視点がなぜ不可欠なのかを論理的に解説します。
目次
多くの企業がバリュープロポジション(VP)を、LP(ランディングページ)や広告で使う「気の利いたキャッチコピー」程度に誤解しています。しかし、VPとは事業の「戦略的原点」であり、全社が共有すべき「羅針盤」です。
それは、「私たちは、どの顧客の、どんな本質的な課題を、競合他社とはどう違う、独自の方法で解決するのか」——この一点を、徹底的に研ぎ澄ませて定義するものです。
VPは、全ての戦術(LP制作、広告出稿、営業トーク、機能開発)の「上位」に存在する経営戦略です。
この「戦略的原点」が定義されて初めて、「誰に(ターゲット)」「何を(メッセージ)」「どう伝えるか(チャネル)」という具体的な戦術が決まります。原点が曖昧なまま、LPのA/Bテストや広告運用といった戦術をいくら繰り返しても、それは場当たり的な施策の繰り返しにならざるを得ません。
羅針盤(VP)がない組織では、各部門が「自分たちの信じる正しい方向」に、バラバラに進み始めます。
マーケ部門は… 「認知度向上がKPIだから」と、できるだけ広い層に響く、ぼんやりとしたメッセージを発信します。
営業部門は… 「目の前の売上がKPIだから」と、競合に勝つために安易な価格交渉に応じます。
開発部門は… 「機能実装がKPIだから」と、「競合が実装したから」という理由で新機能を追加します。
この全社的な「ズレ」こそが、あらゆるリソース(広告費、営業工数、開発工数)を日々浪費させ続ける、根本的な病巣です。
VPの不在は、単なる「非効率」では済みません。それは、貴社の貴重なリソースを日々溶かし続ける、明確な「経営損失」を引き起こします。
VPがなければ、ターゲット顧客の「本質的な課題(Pain)」が分かりません。そのため、広告メッセージは「高性能」「多機能」「業界No.1」といった、「誰にでも当てはまる」ような、ぼんやりとしたものしか作れません。
当然、その広告は顧客の心に刺さらずクリックされず(低CTR)、LPに来ても「自分ごと」として響かないため(低CVR)、CPA(顧客獲得単価)は高騰し続けます。これは、マーケティング予算をドブに捨てているのと同じ状態です。
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VPがなければ、営業担当者は「競合A社と、御社の本質的な違いは何か?」という、顧客の最も重要で本質的な問いに答えられません。
説明できるのは「機能の多さ」や「使いやすさ」といった、すぐに模倣される表面的な差だけです。価値(=課題解決能力の深さ)で差がつかなければ、顧客が最終的に判断基準にするのは「価格」しかありません。
営業部門は必然的に価格競争の泥沼に陥り、貴重な利益率を削り、疲弊していきます。これは、社内で最も高コストなリソースである「営業工数」の、最悪な無駄遣いです。
VPがなければ、開発の優先順位(ロードマップ)が定まりません。その結果、開発の優先順位を決めるのは、「競合が実装したから」「声の大きい(しかし本来のターゲットではない)顧客が要望したから」といった、場当たり的な理由になってしまいます。
VPで定義された「顧客のPain」を解決しない機能をいくら開発しても、それは顧客のLTV(顧客生涯価値)向上には貢献しません。これは、最も貴重なエンジニアリングリソースの浪費に他なりません。
逆に、VPという「羅針盤」を全社で共有できれば、これら3つの深刻な損失は、即座に「利益」へと反転します。
VPで定義された「顧客のPain」に突き刺さる広告・LPが作れるため、CVRが劇的に改善します。SEO、広告、SNS、セミナーなど、全てのチャネルで発信するメッセージに「一貫性」が生まれます。この一貫性こそが「ブランド」であり、顧客の信頼を最短・最速で獲得できます。
「他社との違い」をVPに基づき、価格ではなく「価値(=貴社だけが解決できる、より深い課題)」で明確に説明できます。価格競争から脱却し、VPに共感する「あるべき顧客」だけを選別・注力できるため、商談化率・受注率が向上します。価値が明確に伝わることで、顧客の意思決定が早まり、営業サイクルも短縮されます。
マーケ・営業・開発の全リソースが、VPという「持続的な競争優位性」を構築する、ただ一点に集中投下されます。「3つの損失」が止まり、全社のリソース配分が最適化されることで、事業は最速で成長し、利益率が最大化されます。
ここまで読めば明らかなように、VPの定義は、マーケティング部門だけが行う「戦術」では断じてありません。
VP策定を「時間のかかる高尚なお遊び」「現場が忙しいのに、悠長なワークショップ」と捉えるのは、根本的な誤りです。
VPの不在こそが、日々「3つの経営損失」を生み出し続けている元凶です。船底に穴が空いていれば、まず穴を塞ぐことが最優先であるのと同様に、VPの定義は、他のいかなる戦術よりも最優先で取り組むべき「経営課題の特定と解決」そのものです。
では、VPは自社のメンバーだけで定義できるでしょうか? 答えは「非常に困難」です。
なぜなら、社内には必ず「バイアス(思い込み)」が存在するからです。「我々の技術は最高だ」「顧客はきっとこう思っているはずだ」「営業現場のこの肌感覚が正しい」という、開発者の情熱、経営者の願望、営業の(偏った)成功体験が、客観的な判断を邪魔します。
自社の「思い込み」を排除し、顧客の「本質的なPain」をフラットに抽出し、冷静に分析するためには、利害関係のない客観的な「第三者の視点」が不可欠なのです。
バリュープロポジション(VP)は、単なるキャッチコピーではなく、全社のリソースを最適化する「羅針盤」であり、事業の「戦略的原点」です。
その不在は、「マーケティング予算の浪費」「営業の価格競争」「開発リソースの分散」という、深刻な「3つの経営損失」を日々生み出し続けています。VPの策定は、この出血を止めるための、最優先の「経営課題」です。
しかし、社内の「思い込み(バイアス)」が、その本質的な定義を阻害する最大の壁となります。
私たち株式会社コリンは、VP策定を「ワークショップ」で終わらせるコンサルティング会社ではありません。客観的な「第三者の視点」で貴社の「思い込み」を排除し、顧客の「本質的なPain」を抽出。VPの定義(羅針盤の策定)から、LP・営業資料への「実装」までを伴走支援する専門家集団です。
VP策定が「コスト」ではなく「高ROIの戦略的投資」であることを、経営層に理解してもらう必要があります。
「全社的に羅針盤がズレている感覚がある」
「VPの重要性は分かったが、経営陣をどう説得すればいいか分からない」
こうした課題をお持ちの責任者様は、ぜひ一度、無料の戦略相談をご活用ください。VP不在による「3つの損失」を可視化し、VP策定がもたらす具体的なROI(投資対効果)を示した「ビジネスケース(経営会議用の論拠資料)」の作成から、私たちがお手伝いします。貴社の「羅針盤」を正しく設定し、全ての施策を成功に導くための、最初の一歩を共に踏み出しましょう。