要約 SUMMARY
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「素晴らしい商品を作ったはずなのに、顧客に響かない」「開発チームと営業チームで、製品の強みに対する認識がズレている」。
こうした課題の多くは、自社が提供したい価値と、顧客が求めている価値の間に「ズレ」が生じていることに起因します。このズレを解消し、「顧客が本当に欲しいもの」を定義するためのフレームワークが、バリュープロポジションキャンバス(VPC)です。
本記事では、バリュープロポジションキャンバスの作り方を、初心者にもわかりやすく解説します。さらに、すぐに実践できる無料テンプレートも用意しました。
ただし、単に枠を埋めるだけでは意味がありません。成果に繋がる「勝てるキャンバス」を作るための、プロの視点も合わせてお伝えします。

▶バリュープロポジションキャンバステンプレートをダウンロードする(PDF)
目次
バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas)は、ビジネスモデルキャンバスの考案者であるアレックス・オスターワルダー氏によって開発されたフレームワークです。
「顧客が望むこと(Customer Profile)」と「自社が提供できること(Value Map)」を左右に対比させて描くことで、両者のフィット(適合)状態を可視化します。
「バリュープロポジション(VP)」は、顧客に提供する価値そのものを指す言葉(概念)です。対して、「バリュープロポジションキャンバス」は、そのVPを導き出すための「ツール(道具)」です。
特に、まだ市場が確立していない新規事業や、既存製品のリニューアルにおいて、「誰に、何を、どのように提供するか」を整理するのに適しています。
▶バリュープロポジションの「定義」とVPが経営戦略の核となる理由
キャンバスは、右側の「顧客プロフィール」と、左側の「バリューマップ」の2つで構成されています。それぞれ3つの要素に分解して考えます。
では、実際にキャンバスを作成する手順を解説します。重要なルールは、必ず「右側(顧客)」から書き始めることです。自社製品ありきで考えると、顧客不在の独りよがりな分析になってしまうからです。
まず、「誰のためのキャンバスか」を明確にします。「30代男性」といった大雑把な属性ではなく、「業務効率化を求められているが、予算がなく困っている中小企業の総務担当者」のように、具体的な状況まで設定しましょう。

定義したペルソナになりきって、右側を埋めていきます。

次に、顧客のPainsとGainsに対して、自社がどう応えるかを左側に記入します。
最後に左右を見比べます。顧客の「Pains」に対して、自社の「Pain Relievers」は的確に対応しているでしょうか?
もしズレていれば、機能を見直すか、ターゲットを変える必要があります。
キャンバスを埋めることはゴールではありません。多くの企業が陥る失敗は、「社内の想像だけで埋めてしまう」ことです。
会議室の中で「顧客はこう思っているはずだ」と議論しても、それは仮説に過ぎません。作成したキャンバスが正しいかどうか、必ず顧客インタビューやアンケートで検証する必要があります。
顧客のPainsを解消できたとしても、もし競合他社が同じ解決策を提供していたら、顧客は貴社を選びません。
Kimerelでは、キャンバスを作る前に競合10社・30~50項目の徹底的な調査を行います。「顧客が求めているが、競合が提供できていない領域」を見つけ出し、そこを埋めることで初めて「勝てるVP」が完成します。
▶バリュープロポジションの作り方とは?実践的な策定方法を解説
本記事では、バリュープロポジションキャンバスの作り方について解説しました。
「自分たちで作ってみたが、しっくりこない」「客観的に正しいか判断できない」という方は、ぜひ専門家を頼ってください。
株式会社コリンは、VP策定のプロフェッショナルとして、貴社のキャンバス作りを支援します。社内の思い込みを排し、市場で勝てる「真の提供価値」を一緒に定義しましょう。