バリュープロポジションとは?重要性やメリット・事例~無料テンプレート付き~

要約 SUMMARY

この記事は約10分で読めます。

  • バリュープロポジションとは、「他社には提供できず、自社だけが提供できる、ユーザーが求める価値」と定義される。
  • ニーズの多様化によって差別化が必須となった近年、バリュープロポジションの重要性が高まっている。
  • バリュープロポジションは、新規事業開発、投資家へのプレゼン、採用ブランディングなど、多岐にわたって活用できるフレームワーク。

競合他社との差別化を実現する上で欠かせない「バリュープロポジション」。

言葉は聞いたことがあっても、その重要性や作り方について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、バリュープロポジションの重要性やキャンバスとの違い、メリット、そして陥りやすいワナと正しい作り方について解説します。

また、バリュープロポジションの策定に活用しやすいように、テンプレートを作成しました。

テンプレートの他に、バリュープロポジションのメリットやキャンバスとの違い、メルカリのバリュープロポジション事例も入っています。無料でダウンロード可能なので、ぜひご活用ください。

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バリュープロポジションとは

バリュープロポジションとは、1988年にマッキンゼー&カンパニーのMichael J.Lanning(マイケル・ラニング)氏とEdward G. Michaels(エドワード・マイケルズ)氏によって発表された「A BUSINESS IS A VALUE DELIVERY SYSTEM(ビジネスとは価値提供システムである)」という論文で世に広まった概念です。

当時の定義としては、「どのような顧客グループに、どのような価格で、どのような利益を提供するのかを、明示的かつ厳密に示したもの」でした。

現代では、バリュープロポジションは、「他社には提供できず、自社だけが提供できる、ユーザーが求める価値」と定義されることが多いです。

図の青枠部分のように、ユーザーニーズと自社が提供する価値が重なる領域のうち、競合が提供できない部分のことをバリュープロポジションと言います。

つまり、自社だけがユーザーに提供することができる「独自価値」のことで、ユーザーにとっては「そのサービスを選ぶ理由」になります。

バリュープロポジションの重要性

近年では、市場のニーズが多様化し、商品・サービスの種類が増加する中で、企業は差別化を図らなければ生き残れない状況に直面しています。

そのような状況の中で、多くの企業は競合他社との差別化を図るために、新たな商品・サービスを開発したり、既存のサービスに新しい機能を追加したりと様々な試みを行いました。

しかし、競合他社との差別化を過度に意識した結果、まったくユーザーのニーズに合致していないサービスを生み出してしまい、ますますユーザーが離れていってしまうということが起きています。

だからこそ、ユーザーニーズに重点をおいて「自社独自の価値」を明確化するバリュープロポジションという考え方がとても重要視されているのです。

バリュープロポジションの用途

バリュープロポジションの用途は様々です。

以下は、バリュープロポジションを作る代表的な用途になります。

・新規事業の「独自の価値」を明確化したい
・顧客が求めている価値を提供できているか検討したい
・投資家に自社サービスの優れている価値を伝えたい
・採用活動において、競合にない強みを訴求したい

新規事業開発や投資家へのピッチ、採用活動など、多岐にわたる用途があるので、バリュープロポジションを策定することで色々なケースに応用することができます。

バリュープロポジションキャンバスとの違い

バリュープロポジションとよく混同されるフレームワークとして、バリュープロポジションキャンバスがあります。

どちらも顧客に提供する価値を明確化するフレームワークという点では同じなのですが、それぞれの特徴には、以下のような違いがあります。

バリュープロポジションの特徴

すでに市場が成熟していて、競合他社が多く存在している段階で有効なフレームワーク。Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)という3Cの観点から、価値を考察していく。

バリュープロポジションキャンバスの特徴

市場がまだ成熟しておらず(あるいは、存在していない)、競合他社が少ない段階で有効なフレームワーク。顧客をより深く分析するフレームワークであるため、顧客理解がより強く求められる市場開拓と相性が良い。

この記事では、バリュープロポジションキャンバスについて詳しく解説しているので、ぜひご参考にしてください。

関連記事【テンプレート付き】バリュープロポジションキャンバスの作り方とは?

バリュープロポジションを作るメリット

上記のように、近年特に重要視されているバリュープロポジションですが、具体的には、以下3つのメリットがあります。

  • ユーザーニーズとのズレを見つけることができる
  • 新しいユーザーニーズを発見できる
  • さまざまな施策に活用することができる

1.ユーザーニーズとのズレを見つけることができる

バリュープロポジションを作ることで、ユーザーニーズに基づいた「自社独自の価値」が明確になります。

これにより、既存のサービスにおいてユーザーに提供している価値とユーザーが求めている価値のズレを見つけ出すことができます。

ユーザーニーズとのズレはユーザー離れにつながり、売上・収益の低下に直結します。

バリュープロポジションを作り、ユーザーのニーズと合致することができれば、売上・収益の改善も見込めるでしょう。

2.今まで気付かなかったユーザーニーズを発見できる

後ほど、バリュープロポジションの正しい作り方について説明しますが、バリュープロポジションを作成する過程で、ユーザーニーズを徹底的に深ぼります。

その中で、今まで気付くことができていなかった新しいユーザーニーズに気付くことができます。

3.さまざまな施策に活用することができる

バリュープロポジションは、企業の事業戦略やマーケティング戦略のコア(根幹)になるものです。

そのため、新規事業開発、商品開発、広告のキャッチフレーズ、営業トークスクリプト、組織カルチャーへの浸透など、非常に幅広い施策に活用することができます。

バリュープロポジションを作る際に陥りやすい3つのワナ

ここまで、バリュープロポジションの重要性とメリット、成功事例について解説してきました。
「早速バリュープロポジションを作ってみよう」と思う方も多いかもしれません。

しかし、バリュープロポジションを作る際には、「陥りやすいワナ」があるので注意が必要です。

バリュープロポジションを作る際に陥りやすいワナは以下の3つです。

  • ユーザーニーズよりも自分たちの想いが先行してしまう
  • 既存のアセットに固執しすぎてしまう
  • ユーザーニーズに応えようとしすぎてしまう

1.ユーザーニーズよりも自分たちの想いが先行してしまう

1つ目のワナは、自分たちの想いが先行し、ユーザーニーズが置き去りになった商品・サービスの開発やマーケティング活動を行ってしまうことです。

どんなにこだわったサービスであっても、ユーザーに求められていないサービスには価値がないことを忘れてはいけません。

2.既存の企業資産(アセット)に固執しすぎてしまう

2つ目のワナは、既存の企業資産(アセット)に固執しすぎてしまうことです。企業資産には、既存顧客のデータベースやマーケティングノウハウ、テクノロジーなどがあります。

これらのアセットを活用することばかりを考えてしまった結果として、ユーザーが望んでいないサービスや商品を作ってしまうケースもあるので、注意が必要です。中でも、既に成熟した産業や企業に多く見られます。

3.すべてのユーザーニーズに応えようとしてしまう

3つ目のワナは、すべてのユーザーニーズに応えようとしてしまうことです。

ユーザーニーズに応えること自体はとても重要ですが、すべてのユーザーニーズに対応しようとしてしまうと、以下のような状況に陥りやすいので注意が必要です。

・機能を増やしすぎてしまい、機能の説明をする営業担当やカスタマーサポート担当の負担が増えてしまう

・訴求すべきメッセージが限定できなくなってしまう

ユーザーニーズは多種多様なので、どのニーズに応えるのかはきちんと取捨選択することが重要です。

バリュープロポジションの作り方

バリュープロポジションを作る際に陥りやすいワナについて紹介しましたが、それらのワナに陥らないようにするためには、正しい順番でバリュープロポジションを作ることが大切です。

ここでは、バリュープロポジションの作り方について簡単に解説します。最後に、バリュープロポジションを作る際の【10のチェックリスト】も紹介します。

バリュープロポジションは、必ず以下の順番で作っていきましょう。

  • 1.「ユーザーニーズ」
  • 2.「自社が提供できる価値」
  • 3.「競合他社が提供できない価値」

1.ユーザーニーズ

まずは、「ユーザーニーズ」を洗い出していきます。最初に「ユーザーニーズ」を徹底的に考えることで、「ユーザーニーズよりも自分たちの想いが先行してしまう」「既存の企業資産(アセット)に固執しすぎてしまう」ということを事前に防ぐことができます。

ユーザーが求める価値を考えるためには、ペルソナの設定が効果的です。

自社のサービスを求めるユーザーの人物像を選定したうえで、その人物は「どんなことに悩んでいて」、「どんな軸でそのサービスを選定しているのか」を徹底的に洗い出しておくことが重要です。

また、ペルソナの設定だけでなく、実際に自社サービスのユーザーにアプローチすることも重要です。

既存のお客様にインタビューを行ったり、アンケートに協力してもらったりすることで、ユーザーが求める価値をブラッシュアップしていきましょう。

2.自社が提供できる価値

ユーザーが求める価値を洗い出した上で、自社が提供できる価値を特定します。

自社の商品やサービスを客観的に分析し、ユーザーにどのような価値を提供できているのかを提供できているのかを洗い出していきましょう。

ただ、最初に洗い出した、ユーザーが求める価値とのズレがないかを確認することが重要です。

自分たちが今まで当たり前のように「自社の強み」だと感じていた価値であっても、改めてユーザーが求める価値と照らし合わせてみると、ズレが生じている場合もあるので、注意が必要です。

3.競合他社が提供できない価値(競合優位性)

ユーザーが求める価値と自社ができる価値を洗い出したあとは、その中で競合他社が提供できない価値(競合優位性)を見つけていきます。

上記の3つのプロセスを通して、「ユーザーが求めていて、競合他社はできない、自社独自の価値=バリュープロポジション」を見つけていきます。

この記事では、バリュープロポジションのより実践的な策定方法を解説しています。
参考記事:バリュープロポジションの作り方とは?実践的な策定方法を解説

バリュープロポジション10のチェックリスト

最後に、バリュープロポジションを作る上で、役に立つバリュープロポジションのチェックリストを紹介します。

前述した1988年に発表された「A BUSINESS IS A VALUE DELIVERY SYSTEM(ビジネスとは価値提供システムである)」という論文のなかで用いられているチェックリストになるので、ぜひ皆さんもお使いください。

▼バリュープロポジション 10のチェックリスト

  • 1.利益が明確で具体的に明示されているか
  • 2.価格が明示されているか
  • 3.ターゲット顧客は明示されているか
  • 4.作成したバリューポジションがターゲットにとって、何がどのように優れているかが明確
  • 5.十分なニーズがあるという証拠がある
  • 6.投資に対して、許容可能なリターンがあるか
  • 7.競合他社のバリュープロポジションと比較して有効であるか
  • 8.現在のビジネス・システムを変更することで実現可能であること
  • 9.いくつかある自社のバリュープロポジションのなかで最良のものである
  • 10.明確かつシンプルにまとめられているか

引用元:A BUSINESS IS A VALUE DELIVERY SYSTEM

まとめ

本記事では、バリュープロポジションの重要性やメリット、バリュープロポジションを作る際に陥りやすいワナと正しい作り方について解説してきました。

バリュープロポジションを作ることで得られるメリットは、以下の3点です。

・ユーザーニーズとのズレを見つけることができる
・今まで気付かなかったユーザーニーズを発見できる
・効率的なマーケティングを実施できる

ただ、バリュープロポジションを作る際には陥りやすいワナもあるので、正しい手順で、的確なバリュープロポジションを作り出していくことが重要です。

また、「差別化マーケティングナビ」を運営するCOLINでは、バリュープロポジションの策定からマーケティング施策の実行まで一気通貫で支援しております。

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